欧米ではとうの昔にペットの生体販売は禁止されています。
日本では、客受けが良く高値で売れるという理由から、
生後1ヶ月位で早々に親から引き離して市場に卸され、
店頭で展示販売されることがほとんどです。
これはかなりのストレスになるばかりか、
免疫力がない子犬にとっては、感染症にかかって命をおとす危険もあります。
さらに、ブームや衝動買いを当て込んだ店頭での生体販売は、
狭いケージ内に閉じ込めて何度も無理矢理お産させたあげく、
お産が見込めなくなった犬を放棄する、悪徳ブリーダーをも生み出します。
地球生物会議ALIVEブログでも時々紹介していますが、
私にはトリーマー&プードルのブリーダーをしている友人がいます。
昨年9月、彼女が飼っていた
雄のプードルが15歳で亡くなりました。
目も見えなくなり、最期はほとんど寝たきりでしたが、
大好きなよっちゃん(友人)の気配がなくなると鳴いて呼ぶので、
夜中もつきっきりで、腕が神経痛になるほど四六時中抱きかかえていました。
ボク(犬の名)は、彼女の胸の中で静かに息を引き取りました。
こんなふうに、寝不足と涙で目を埴輪のようにしながら、
彼女は年老いた犬を何匹看取ったことでしょう。
この春、2匹の子犬が生まれました。
生後20〜90日は『子犬の社会化期』といい、
その後の犬生をも決定づける大切な時期です。
子犬達は、生後約60日間を親兄弟や仲間とともに過ごし、
遊びやケンカを通して、犬としての資質を身につけます。
もちろん、親犬も子犬も、
ゲージに閉じ込められるようなことはありません。
普通に放し飼いの室内飼育です。
そうした中で、子犬達は、初めて接する人間(友人)から
愛情をたっぷり注がれ、人間との信頼関係を築きます。
この子達の飼い主さんはすでに決まっています。
オシッコやウンチの始末、離乳食作り、テレビ、車の音、
掃除機といった生活音にも徐々に慣れさせ・・・
新しい飼い主さんの元へ行くその日まで、彼女はつきっきりで世話をします。
犬のお産適齢期は2歳〜6歳未満、
それに対して寿命は12〜15年。
決して無理な繁殖はせず、子犬を市場には出さず、
繁殖犬を最期まで自分の手元で面倒見たら、
「儲かる道理がない」(by 友人)
それでも、彼女がブリーダーをしているのは、ひとえに、
犬が大好きで、プードルが好きだから。
プードルという犬種を守っていきたいから。
その一途な思いだけで、プードルひと筋ン十年、
今のようにブームになるずーっと以前から、
彼女の元に直接訪ねて来て、彼女と話をし、
彼女が納得した人だけを相手に、本当に細々とブリーダーを続けています。
生き物相手で休みもないし、いつだって自分のことは二の次だし、
いつも忙しくて大変そうだけど、犬の幸せは私の幸せとばかりに、
大好きな犬といっしょに、泣いたり笑ったりしながら毎日頑張っています。
巷では、彼女のようなブリーダーを優良と呼ぶようです。
けれども、それ自体が、日本のペット事情の悲惨さ、
お粗末さを表しているように私は思います。
だって、彼女は何ら特別なことをしているわけではないのです。
もし、あなたが犬が大好きで、ブリーダーだったとしたら・・・
生まれて間もない子犬を無理矢理親から親から引き離し、
病気などの重大なリスクを知りながら市場に卸せますか?
ネットで見ず知らずの人に販売したり、
最安値と銘打ってオークションにかけられますか?
一日中狭いケースに閉じ込められて見せ物にされていたらどうですか?
年老いたり、病気になった子を不要犬として放棄できますか?