「HACHI!」
最近テレビでよく流れている映画のCM。
動物ものに異常に弱い私は、あの予告編だけでうるっときてしまう。
リチャードギアも大好きだし、
日本では知らない人はいないぐらいの『忠犬ハチ公』が、
ハリウッドでどんなふうにリメイクされているのかも
大いに興味があるところだけど、
劇場で冷静に観る自信がない。。。
周囲が引くほど号泣するんじゃなかろうか。(┬┬_┬┬)どばーっ
私が子供の頃、叔母の家には
柴犬に似た、中型で雌の雑種犬がいました。
子犬の時に捨てられていたのを叔母が拾ったのですが、
独身で美容院を経営していた叔母は、『チコ』と名付け、
子供のような存在として寝食を共にし、
それはそれは可愛がっていました。
まだまだ番犬として『外飼い』があたりまえの時代(特に雑種などは)、
家の中や店内に犬が居るというのは、けっこうめずらしいことでした。
チコはとても利口で、叔母と常に生活を共にしているせいか、
特に教えなくても、
朝起きれば新聞を持って来るし、
掃除を始めれば、邪魔にならないように他の部屋に移動するし、
店内の髪の毛が落ちている辺りには近寄らないし、
エサのお代わりが欲しかったら、器を食わえて催促するし、
ほとんどのことは理解していました。
チコと私は大の仲良しでした。
その頃の我が家は動物を飼えない環境だったので、
私は、叔母のところを訪ねてチコに会うのがとても楽しみでした。
私が遊びに行く日の朝、
叔母がチコに
「チコちゃん、今日はSちえが来るよ」と声をかけると、
その日、チコはずっと玄関先で伏せをして待っているのだと聞きました。
そして、私を乗せた父の車が近づいているであろう時分になると、
人間には何も聞こえないし、何の気配も感じられないのに、
チコは、尻尾を振ってソワソワし始めるのだと。。。
私が玄関を開けると、目をキラキラさせて、
尻尾をちぎれんばかりに振ったチコが、必ずそこに居ました。
物心ついてからの私の犬との思い出といえば、叔母の家でチコと過ごした時間です。
チコとの楽しい日々はあまり長く続きませんでした。
チコは、7才とちょっと、人間で言えば40代後半ぐらいの若さで
あっけなく亡くなりました。
叔母は店も閉めて、文字通り三日三晩泣き暮らしました。
そして、それ以降、犬を飼うことはありませんでした。
その叔母も2003年に亡くなりました。
叔母を見送りながら、
私は心の中で、
「おばちゃん、やっとチコに会えたね」
と呟いたのでした。
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