昨夜、テレ朝『報道ステーション』で、古舘キャスターと、
「鉄道員(ぽっぽや)」、「地下鉄(メトロ)に乗って」
等の作品でよく知られる作家・浅田次郎さんが、
『
原発と日本人』というテーマで対談をしました。
人気作家だけあって、放射能を封じ込めるための
チェルノブイリ原子炉を覆う石棺工事作業のことを、
当時のことを知らない世代が、伝説や神話のように
この先延々と引き継いでいかざるをえない、
大変虚しい「灰色のマトリョーシカ」
と喩えたり、
日本全国に乱立された原発については、
雇用や地域活性化、利権のために何かを造るというのなら、
害のある原発より、5000年後に観光に役立つかもしれない
ピラミッドでも造った方がマシ
と、高度成長期が終わった今も尚、土木国家から脱却できない
日本を皮肉ったりと、
その言葉選び(表現力、説得力)はさすがで、
とてもわかりやすく、小気味好くさえありました。
また、対談の後半では、
原子炉の廃炉がなければ、核廃絶には結びつかない。
平和利用ならいいということはない。
とも述べ、『核絶対否定』の意志を明確に表していました。
*核絶対否定:元原水爆禁止日本国民会議議長、故森滝市郎さんが、
「核と人類は共存できない」と核の軍事的、平和的利用反対を訴えた
1975年の被爆三十周年原水禁大会における基調演説。
☆『核と人類は共存できない〜核絶対否定』(無有的日常blog 2012/8/8)
先日、政府が実施した2030年における原発依存率に関する
パブリックコメントの集計結果が公表され、実に、
全体の87%が原発0を支持するものでした。
それ受けて経済界は当然反発、政府によって集められた
専門家からも、「原発0を政府方針にするのは慎重にすべき」
という意見が相次いでいます。
予想通りの展開ではありますが、原子力ムラの皆さんが、
国民の意志などそっちのけで、既得権益を死守するために
必死になるのは、本当に見苦しいです。
この人達は、この日本にも『灰色のマトリョーシカ』
が生まれてしまう現実をどう捉えているのでしょう。
(実際には、まだそれさえ造れない状態ですが)
私達の世代がこの世からいなくなっても、
その次の世代が、そしてそのまた次の世代が、
継承すべき虚しい伝説として
『灰色のマトリョーシカ』を
福島第一原発に造り続けていかなければならない、
このどうしようもない現実を・・・・・。
最後にもう一つ、対談から浅田次郎さんの言葉を
引用させていただきます。
子供は目に見える未来、未来そのものだ。
我々は未来に責任を持たなければならない。
☆
作家・浅田次郎氏に聞く "原発と日本人"
(ANA『報道ステーション』2012/8/27)
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