『
100,000年後の安全』という映画を観ました。
この映画は、現在、フィンランドはオルキオトに建設中の
『オンカロ(隠された場所)』に潜入取材したドキュメンタリーです。
『オンカロ』とは、原発から出る高レベル放射性廃棄物を
地下約400メートルの岩盤に埋蔵するための世界初の処理施設で、
現在の計画では、2020年に完成、100年間にわたりフィンランド国内の
高レベル放射性廃棄物を受け入れた後、2120年頃封鎖される予定です。
地中に埋められた高レベル放射性廃棄物が無害化するまでには、
最低でも10万年を要します。
もっと反原発色の強い内容かと想像していましたが、
そうした主張めいたものを見る側に突きつけるわけではなく、
全編を通して、
まるでSF映画に出てくるような
無機質な処理施設の内部と、
暗闇の中を巨大な掘削機が動き
発破音が鳴り響く地下岩盤採掘現場、
このプロジェクトを推進する会社関係者、学者、議員らの証言を
淡々と粛々と映し出していました。
そして、私達現代人と10万年後の未来に生きる人類に対して、
静かに問いかけるのです。
10万年という途方も無く長い年月の間、
テロにも、誰にも掘り返されることなく、安全に管理できるのか?
ネアンデルタール人の時代から現代まで1万年しか経っていないというのに、
はたして、言語も文明も異なるであろう数万年先の人類に、
地下に眠る危険を正確に伝えることはできるのか?
気候や地殻の変動を経て10万年もの間、
この処理施設が無事に持ちこたえられるのか?
(未だかつてそんな建造物は地球上に存在しない)
原発はよく『トイレのないマンション』と揶揄されます。
理由は、放射性廃棄物の処理法が確立されていないからです。
そして、処理法もないまま推進されてきた結果、
現在、世界中にある高レベル放射性廃棄物は
25万トン以上と推測されています。
ちなみに、日本だけでも、毎年、
広島原爆約5万発分に相当する放射性廃棄物が生み出されており、
その総量は、広島原爆約120万発分にも及ぶそうです。
世界中には、原発が420基以上あります。
『オンカロ』の埋蔵量は、最大で約9000トンとされています。
いったい、私達は、いくつのオンカロを作り、
10万年先の未来に送り込めばいいのでしょうか?
【映画『100,000年後の安全』公式サイトより】
未来のみなさんへ
ここは21世紀に処分された放射性廃棄物の埋蔵場所です。
安全な所に保管する必要があります。
決して入らないでください。
放射性物質は危険です。
透明で、においもありません。
絶対に触れないで下さい。
地上に戻って、
我々より良い世界を作ってほしい。
近づかなければ安全です。
幸運を。
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