今年の夏、私の住む近辺は蝉が少なかった。
蝉が羽化する頃に雨が少なく、
地面が固くて幼虫が地上に出られなかったためだとか。
何年もの間、真っ暗な地面の下で過ごして、
やっと明るい青空の下に出てこれたと思ったら、
1週間ぐらいで死んじゃう蝉は可哀想。。。
とかく、そんなふうに言われることが多い蝉だけど、
ふと思うのです。
地中に抱かれていた時間が、
蝉にとっては一番幸せな時間だったのかもしれないと。
朝、ベランダに出ると蝉がひっくり返っていました。
指を出すと、弱々しいながらもしがみついてきたので
桑の苗の根元に置いてあげました。
羽もボロボロで、
鳴く力も 残っていないようです。
それでも、
その目は しっかり空を見つめていました。
もう飛ぶことのない空を
静かに静かに 見つめていました。
よく生きた
よく 生きたね。
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