先日、
グレースさんに無有を迎えに行った際、
気になる話を幾つかうかがいました。
リクガメを飼育し、サイトを立ち上げている身としては、
心が痛む話ばかりでした。
今後、折に触れてテーマ別に取り上げていきたいと思います。
といった事情で、本日のテーマは『リクガメと紫外線』。
グレースさんによると、リクガメを求めて来るお客さんの中に、
「放し飼いにするから紫外線ライトなどの飼育セットはいらない」
という人が、けっこういるのだとか。
聞けば、「放し飼いにしている飼育者のブログやホームページを見た」と。。。
確かに、狭いケージの中ばかりに閉じ込めておくのではなく、
室内外問わず、広いスペースで自由に行動させてあげるのは良いことだと思います。
我が家の無有も、ベランダと室内を自由に行き来しており、
その様子を紹介しています。
が、
放し飼い=紫外線ライト不要ということではありません!まだ飼育法が今ほど確立しておらず、情報量も少ない一昔前のことならともかく、
私の知り得る限り、私を含めリクガメ飼育者の皆さんは、
たとえ室内外で放し飼いにすることはあっても、
基本的には、
そのリクガメに適した飼育設備、飼育環境を整え、
自分のリクガメが健康で幸せに過ごせるようにと、日々心を砕いています。
リクガメは何の設備も準備もなしに飼育できるような生き物ではありません!先ず、野外での放し飼いについてですが、
リクガメにとって日本の気候は、決して楽観できるものではありません。
寒くて乾燥する冬、湿度の高い梅雨、猛暑の夏・・・
地域によって気候条件も違うでしょうが、
一年のうちリクガメが快適に野外で過ごせるのは短い期間です。
ましてや、子ガメの場合などは、ちょっとした温度変化で体調を崩したり、
カラスや野良猫などに襲われたり、転倒といった危険もあります。
次に、室内での放し飼いについてですが、
リクガメは、
紫外線(とりわけUVB)を浴びることによって、
体内でビタミンD3を合成し、腸からカルシウムを吸収、甲羅を形成します。
ところが、UVAと違って
UVBは窓ガラスをほとんど透過しません。
いくら窓ガラス越しに日光浴させても、甲羅の成長には不十分なのです。
我が家では無有のために、今の時期、窓ガラスは朝から晩まで開け放してあります。
窓ガラスを開けることによって、室内にも紫外線を取り込むことができるからです。
勘違いしがちですが、日光浴とは
決して直射日光に当てることではありません。
曇天でも紫外線はありますし、日陰、もしくは、室内であっても、
窓を開けた状態であれば(網戸でも可)乱反射で紫外線は入り込みます。
(そのせいで、私は室内に居ながらにしてどんどん日焼けしますが・・・)
逆に、体温調節の出来ないカメにとって、夏場の直射日光は
熱中症を起こし命を落とす危険があります。
実際、無有も夏場の日中は、日陰や室内でやり過ごすことの方が多いです。
*ベランダ、日陰での無有さま
*室内、窓際での無有さま
無有の場合、たまたま私が在宅なので、
窓を開け放してのきままな飼育環境が成立していますが、
お仕事や学校などで日中留守にされる方には、不可能だと思います。
毎日窓を閉め切った室内で、紫外線ライトも使わず、
週に一度や二度日光浴させるだけでは、健全な発育は望めません。
リクガメにとって紫外線は必要不可欠です。紫外線不足は、甲羅が柔らい(薄い)、四肢の発育不全といった
くる病の原因にもなります。
紫外線ライトや保温球、ケージ、サーモスタットといった初期設備には、
それなりの費用がかかります。
もし、設備投資をもったいないと少しでもお感じになるのなら、
リクガメを飼育するべきではありません。
グレースさんでは、飼育設備を揃えるつもりのないお客さんには
生体販売を行わないそうですが、同じような人が別のペットショップで購入したら・・・
と考えると心が傷みます。
ネットで見たということは、このブログを読んでいらっしゃる可能性もあるでしょう。
どうかお願いします。
あなたのリクガメの健やかな発育のために、
紫外線ライトなどを含めた飼育設備は必ず用意してあげて下さい。